賑やかだけど何処か寂しい、人間の人恋しさや孤独感を描いた作品
随分と前にビデオ録画しておいた『 冬の馬~清水邦夫・愛の作品集より~ 』を久し振りに観てみました。「NHK芸術劇場」という番組で放映されたものです。
これは1992年(平成4年)12月に、東京・両国の’シアター・×(カイ)で演じられたもので、吉村時計修理店という銀時計を扱うお店を舞台に繰り広げられる、人間の人恋しさや孤独感を描いた作品です。賑やかだけど何処か寂しい、そんな作品です。
カリエスの静養のために過ごした「 吉村時計修理店 」での4ヵ月間、研一が聴いていたレコード ” ラビア ” を、7~8年後の今日、波子と二人で静かに聴いている。そのラストシーンは切り取られた絵画の様で、とても綺麗でした。
ラビアという曲がとても素敵だったので、このシーンをより一層輝かせていました。悲恋物語とかそういう薄っぺらな物語ではありません。良い作品でした。好きな芝居です。
ちなみに、お隣に住む ” オオサンショウウオ ” 役の中村美代子さんは、この作品で紀伊國屋演劇賞を受賞されています。
番組の始めに、作・演出の清水邦夫さんが、インタビューに答えています。以下は要約の引用です。
「 賑やかにやりながら、それぞれは意外と孤独感に悩まされている。人と人との薄い関係に悩んでいる孤独感というものが、どう立ち上がっていくかを観ていただきたいと思います。」
※2004年09月24日に私のブログに投稿した日記を一部再考・加筆し掲載しました。

☆あらすじ☆ 演劇『 冬の馬~清水邦夫・愛の作品集より~ 』
主人公の波子は、過去に妻子ある大学教授と駆け落ちをし銀時計を扱うお店を始めました。今は義理の息子・研一や、前夫との間に生まれた息子の元妻・美枝と二人で暮らしています。
ある日、波子の亡夫の息子で義理の息子である研一が訪ねて来ます。波子と研一は同じ歳ですが、これまで殆ど交流は無く、ずっと以前病気になった際に四ヵ月程一緒に暮らしただけの間柄です。研一が現れたことで、家族の関係や、それぞれの孤独と愛が浮き彫りになっていきます。
タイトル「 冬の馬 」は、戦時中に ❝ 馬の居ない小屋 ❞ に、❝ 馬は居る ❞ と信じて生活に活力を取り戻した人々の話に基づき、波子の生きる力の象徴として描かれています。
☆上演データ☆ 演劇『冬の馬~清水邦夫・愛の作品集より~ 』
- 作品名:冬の馬
- 制 作:倉掛 淳一
- 製作国:日本
- 公 演:木冬社第18回公演、木冬社=シアターX(カイ)提携公演
- 公演日:1992年(平4年)12月10日~12月25日
- 会 場:シアターX(カイ)
- ジャンル:演劇、家族愛と孤独を描いたヒューマンドラマ
☆スタッフ☆ 演劇『冬の馬~清水邦夫・愛の作品集より~ 』
- 作・演出:清水 邦夫
- 美術:朝倉 攝
- 照明:服部 基
- 音響:深川 定次
- 舞台監督:堀井 俊和
☆キャスト☆ 演劇『冬の馬~清水邦夫・愛の作品集より~ 』
- 出演者:(役名)
- 米倉 斉加年:(吉村 研一 / 波子の義理の息子)
- 松本 典子:(吉村 波子 / 研一の義理の母)
- 磯部 勉:(村上 通 / 波子の離別した息子)
- 黒木 里美:(中島 美枝 / 通の分かれた妻)
- 中村 美代子:(大庭かつ / 吉村時計修理店の隣の住人)
- 南谷 朝子、菊岡 薫、林 香子、越前屋 加代、田中 幹子 ほか
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